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原発と役所は船に似ている。

役所という船では、艦長に命令権は無い。最終的な決定権も無い。重要な変針を行う際には、乗客の了解を得る必要がある。場合によっては船長選挙を行い、乗客の多数決を問う必要も出てくる。選挙の結果、多数側の乗客が代表者としてブリッジに乗り込んで来る。その主要メンバーは、たいてい一等客室の乗客(高所得者層)だ。

良心に素直に従えば沈没事故を確実に防ぐために危険な航路は避けたい。しかし変針は乗客からの承諾を得ねばならない。乗客の代表者である一等客室は反対する。玉虫色でその場しのぎの決定が下される。形而上学的な意味での善と悪の対決ではなく形而下的な「人間関係」から決定が下される。「罪」に対する怖れ、単純な善と悪の対立よりも、社会、世間、国家との「調和」が優先される。責任の所在が明示されないことが、その決定の重要な条件となる。

一旦航路が決まれば修正は難しい。不幸にも氷山に船がぶつかれば船長は「衝撃に備えろー」と叫んで船員と乗客の安全を祈るしかない。

この場合、真っ先に被害を受けるのは、海面に近い三等船室(低所得層)だ。真っ先に水が流れ込んでくる。船の上部にある一等客室(高所得層)は、救命ボートにも近く、脱出できる可能性が高い。後は船長が、いち早く応急修理班を組織して、損害個所の救援に当たらせるしかない。しかし応急修理班を組織せず、三等客室を見捨て、一等客室を優先的に助ける決断を下したら、それは「悲しい現実」となる。

愛媛県知事中国電力が提示した住民避難計画を異議がないものとして受理し、伊方原発の再稼働に合意した。これは、この「悲しい現実」にあたる。

開戦前夜に何もしなかった広田弘毅も、原発再稼働、憲法改正そして異次元金融緩和を強行する安倍晋三も、すべて日本人にとっては「悲しい現実」である。弱者を見捨てる強者の論理は日本を必ず破滅させる。

 

参考記事
http://d.hatena.ne.jp/akatibarati/touch/20150908/1441720693