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日本の幻想を消し去った原爆投下。

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日本人にとって"最後まで戦う"とはどういう意味だったのか。それは気高く自らの命を投げ出すことだった。彼らは天皇のために死のうとした。神話の国を守るため先祖と共に祀られるために死のうとした。降伏や平和交渉はあり得なかった。”日本人のイデオロギー的戦争”はやがて彼らを"本土決戦"へと駆り立ててゆく。死はそれ自体美しく名誉なことだった。だが、1945年8月6日、9日に広島、長崎に原子爆弾が投下されて、この考え方がひっくり返った。原爆は日本人に最後まで対決し名誉の死を遂げる機会を奪い去った。原爆投下は、昭和天皇自身が認めたように、日本の降伏を可能にした唯一のものだった。天皇が国民に説明したように、「なお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、さらには人類の文明をも破滅させる」に違いなかった。原子爆弾投下という悲劇的行為、前例のない暴力が、日本人のイデオロギー的戦争を終わらせた。原爆は日本が戦争を続けるための大義名分をすべて奪い去った。
 
WSJ  (米国退役軍人からの寄稿)  2015